ライブのセトリの組み方|30分対バンで曲順・MC・時間配分を整える実践手順

30分の対バンで曲順・MC・時間配分を考えるライブのステージ 暮らし・サービス

30分のライブのセトリは、曲を30分ぶん並べると、MCやチューニングの時間が足りなくなります。
先に持ち時間の計測範囲を主催者へ確かめ、最初と最後の曲、曲間の作業、終わりの合図までを一つの進行として組むと、本番で使える形に近づきます。
曲数はその結果として決めるもので、30分なら必ず何曲、という共通の正解はありません。

私自身、高校生のころ、文化祭で30分のライブを演奏したことがあります。
当時は持ち曲が少なく、曲と曲の間をMCでつなぎました。
会場は結果的にかなり盛り上がりましたが、いま振り返ると、「MCが長かったから成功した」というより、身近な観客との距離感や文化祭らしい空気に助けられた面もあったと思います。
初めて見るお客さんも多い対バンでは、この経験をそのまま当てはめず、演奏と段取りを合わせて考えたいところです。

曲を選ぶ前に、30分がどこからどこまでかを聞きます

出演条件の「30分」が、演奏開始からなのか、登場や準備も含むのかで、使える時間は変わります。
主催者または進行担当者へ、計測の始点と終点、転換の時間、最後のあいさつや退場を含むかを確かめます。
アンコールの可否と、セットリストの提出期限・用紙も、この段階で聞いておくと後の組み直しを減らせます。

ライブハウスDEPARTUREの公式用紙では、MCなども含めて持ち時間内に収め、MCの位置も一行を使って書くよう案内しています。
ただし、これは同会場の資料です。
出演先の条件を確かめずに、その用紙の項目や他会場の慣例を共通ルールにしないでください。

計測範囲が決まったら、演奏、MC、曲間の作業、登場・退場など、枠に含まれる時間を洗い出します。
同時に行う作業は二重に足しません。
MC中のチューニングがMCの終了までに済めば、その区間は長い方の時間で考えます。
別々に行う場合や、話し終わっても調整が続く場合は、実際にかかった追加時間が必要です。

仮案は、通し練習に間に合う時期に作る

セトリを決める日は、提出期限から逆算します。
期限の直前に初めて並べると、時間超過が分かっても曲間やMCを練習し直せません。
候補を並べた仮案で通す日、修正後にもう一度測る日、提出する日を、メンバーの予定に入れておきます。

出演形式にも目を向けます。
対バンなら初見の人へ特徴が伝わる入口を、ワンマンなら既に知っている曲との関係や長い流れを考えます。
配信では途中から見る人や、会場の歓声が十分伝わらない視聴環境もあるため、曲紹介や画面へ向けた一言、沈黙中の見え方も検討します。

ステージの足元に置いたセットリストとエフェクター。最初と最後の曲から流れを考える場面

最初と最後を決めてから、中盤の役割を作ります

残したい印象を、メンバーで一文にする

「勢いのあるバンドだと思ってほしい」「歌詞を覚えて帰ってほしい」「明るい気分で次の出演者を待ってほしい」など、今回の目的を一文にします。
全員の好きな曲を一つずつ入れるだけでは、曲どうしが競合して、何を伝えるライブかがぼやけることがあります。
迷ったときに戻れる言葉を先に持つと、曲の役割を話し合いやすくなります。

意見が割れたら、目的に合うか、本番で再現できるか、前後の曲と違いが出るかの三つで比較します。
「好きだから」だけで採用せず、今回は入れない曲を次の機会へ回す判断も含めて相談します。

1曲目は、迷わず始められて特徴が伝わる曲へ

最も人気のある曲でも、入りが難しく、準備に時間がかかるなら、初ライブの1曲目には負担が大きいかもしれません。
イントロとカウントが明確で、全員が入りやすく、歌い出しを無理なく再現できるかを見ます。
短い時間でバンドの特徴が伝わる曲なら、客席も聴く入口をつかみやすくなります。

長い入場音や静かな語りから始める演出も可能ですが、音を出す人、止める合図、演奏へ入るタイミングが必要です。
初めてなら、演出を増やすことより、メンバーとスタッフが同じ始まりを想像できることを優先します。

最後は、曲と終演の動作を合わせて決める

最後の曲は速い曲に限りません。
代表曲、合唱できる曲、余韻のあるバラードなど、決めた印象を残せる曲を選びます。
そのうえで、最後の音をそろえて切るのか、響きを残すのか、誰があいさつし、どの合図で礼や退場へ移るのかを決めます。

曲の終わりだけ合っていても、全員が次の動きを待っていると終演が曖昧になります。
最後の一音から退場までを練習に含めると、観客への伝わり方と進行時間を一緒に確かめられます。

中盤は、速さ以外の違いも使う

テンポの速い曲と遅い曲を交互に置くだけが、変化の作り方ではありません。
音数の多い曲から少ない曲へ、明るい歌詞から内省的な歌詞へ、ギター中心からリズム隊が目立つ曲へ移る方法もあります。
観客に参加してもらう曲と、静かに聴いてもらう曲を分けることも、聴き方の変化になります。

逆にテンポが違っても、イントロやサビの展開が似ていれば、通して聴くと単調に感じる場合があります。
バラードを何曲までと数だけで決めず、音像や歌詞、終わり方まで含めて隣り合う曲を聴き比べます。
曲数が少なければ、つなぎ方や本番用のアレンジで違いを出す余地もあります。

まず試せる二つの流れと、30分の配分例

勢いを早く伝える流れ

勢いのある曲→覚えやすい曲→短いMC→雰囲気の違う曲→聴かせる曲→代表曲、という並べ方が一例です。
最初の二曲で特徴を示し、中盤で聴き方を変え、最後にもう一度印象を強めます。
初見客が多く、短時間で持ち味を伝えたいときの仮案になります。

ただし、序盤で最も強い見せ場を使い切ると、終盤が弱く感じられることがあります。
最後に置く曲は、速さだけでなく合唱、演奏の厚み、余韻など、序盤とは別の理由で残る曲かを考えます。

静かな入口から広げる流れ

静かな導入曲→ミドルテンポ→MC→リズムに特徴のある曲→盛り上がる曲→余韻のある代表曲、という流れもあります。
歌詞や音の世界を聴いてもらう入口を作り、少しずつ展開を大きくする考え方です。
一方、客席がざわつく環境では、小さな歌い出しが届きにくい場合もあります。

会場の雰囲気や出演順を踏まえ、静かな始まりを伝えられるかをリハーサルで相談します。
ここで示した並びは選曲の考え方であり、六曲を必ず30分へ入れる例ではありません。
実際の曲の長さが分かってから、曲数と配分を決めます。

5曲・MC2回なら、予定27分と余裕3分を分けて考える

次は、転換が別枠で、登場・曲間・退場を30分に含む場合の計算例です。
演奏は合計21分、MC3分、登場1分、曲間と退場2分で、進行そのものは27分です。
残り3分を余裕として置きますが、どのトラブルにも十分という意味ではありません。

項目役割・内容配分例
登場・準備位置確認、短いあいさつ1分
1曲目入りやすく特徴の明確な曲4分
2曲目流れを続ける曲4分
MC1バンド名、感謝、次への一言1分30秒
3曲目音数やテンポを変える曲4分30秒
4曲目終盤へつなぐ見せ場4分
MC2告知、最後の曲への一言1分30秒
5曲目最も残したい印象を示す曲4分30秒
曲間・拍手・退場の合計実際に必要な各区間へ分ける2分
予備予定へ使い切らない余裕3分
合計進行27分+予備3分30分

表の「曲間・拍手・退場」は、最後にまとめて二分待つという意味ではありません。
必要な場所へ振り分け、MCと重ねられる作業は実際に同時に行って測ります。
通し練習では予備の三分を待たず、登場から退場までの実時間が27分以内に収まるかを見ます。

たとえば通して28分かかったなら、表どおり三分の余裕は残っていません。
MCを短くする、曲間の作業を整理する、本番用アレンジや曲数を見直すなどして、変更後にもう一度測ります。
音源の表示時間だけを足して、実演でも同じになると扱わないことが大切です。

曲の長さだけで判断せず、MCと楽器交換も含めて通し練習の時間を測る2コマ漫画

MCと機材作業は、担当と終わる合図まで書きます

MCは余白を埋めるより、次へつなぐ役割を持たせる

MCごとに、バンド名、感謝、曲の背景、告知など、主な目的を絞ります。
全文を暗記する必要はありませんが、誰が話し、何を伝え、どの言葉や合図で終わるかは決めておきます。
話が終わった後のカウントを誰が出すかまで共有すれば、「誰かが始めるだろう」という待ち時間を減らせます。

私の文化祭では曲間の会話が盛り上がりにつながりましたが、対バンでも長く話せばよいという根拠にはしません。
曲を聴きたい観客に対して、説明を増やすほど伝わるとも限りません。
反応が少ないときに話題を追加し続けないよう、伝える要点と終える場所を先に決めます。

チューニングと楽器交換を、実際の曲間へ割り当てる

同じチューニングの曲を近くに置けば、変更回数を減らせることがあります。
ただし、それだけで似た曲を続けると音楽の流れが単調になるため、作業の少なさと聴いた印象を両方比べます。
変更が必要な曲の前にMCを置き、その間に調整を終える組み方も候補です。

MC中にギターを調整するなら、誰が話すか、客席へ不要な調整音を出さないために何をするか、終わった合図をどう出すかまで合わせます。
交換する楽器の置き場所、受け渡す人、交換後の確認も通し練習に含めます。
調整する本人が同時に長いMCを担うなど、実際には両立しない割り当てにしないようにします。

紙には、暗い足元でも迷わない情報を残す

メンバー用には大きな曲名、MCの担当、チューニング変更、次曲へ入る合図、短縮時に外す候補などを簡潔に書きます。
長文の注意書きを詰め込むと、本番中に必要な行を見つけにくくなります。
会場へ出す用紙には、会場が求める情報に沿って曲順とMC、音響・照明のきっかけを記入します。

ギターソロ、コーラス、楽器交換、同期音源など、スタッフに関わる変化は具体的な場所が伝わるようにします。
照明も「派手に」だけでなく「3曲目は落ち着いた青系」「最後のサビで明るく」など希望を絞り、実現できるか相談します。
希望を書いたことだけで、会場が必ず対応できるとは決めません。

通し練習は、止めずに測ってから直します

本番と同じ順番・アレンジで、主催者が指定した始点から終点まで時計を止めずに測ります。
途中でミスを直してやり直す練習とは分け、まず一回の進行がどうなるかを確かめます。
録画できる環境なら、映るメンバーに了承を得て、曲が終わってから次が始まるまでの動きも見返します。

演奏のミスだけでなく、最初の音までの沈黙、曲間の秒数、MCと機材音の重なり、交換後の待ち時間、最後の礼と退場を見ます。
全員が足元を見ている時間が長ければ、話す担当や準備の順番を見直せます。
曲紹介は終わったのに演奏が始まらないなら、調整完了の合図が共有できているかを確かめます。

一度だけ短く収まっても、偶然MCが短かった可能性があります。
複数回測り、最短だけを採用せず、長くかかった回の理由を確認します。
焦ってテンポを上げて帳尻を合わせると演奏が崩れることもあるため、時間を縮める目的で無理に速く演奏しません。

超過したときに外すものを、あらかじめ決める

短くできる曲紹介、告知の言い方、省けるMC、外す候補曲を決めます。
ただし、曲を外すとチューニングや曲間の合図も変わるので、削った後のつながりを試す必要があります。
省略する曲だけ丸を付けて終わらせず、短縮版でも最後まで通してみます。

本番の開始が遅れた場合、終演時刻を変えられるかは主催者の判断によります。
進行担当者へ残り時間を確かめ、共有済みの短縮案を使えるか相談します。
余裕が残った場合も、勝手に曲やMCを追加しないでください。

曲が足りない・型が合わないときの考え方

持ち曲が少ない場合は、MCだけで大きく埋める前に、短い出演枠が可能かを相談します。
出演条件に合うカバー曲や無理のないアレンジを検討する方法もありますが、新曲を加えるなら通して再現できる状態まで練習する時間が必要です。
準備が間に合わないなら、出演時期を見直すことも選択肢です。

即興中心、曲を切らずにつなぐ構成、映像や演劇と一体のステージでは、曲とMCを交互に置く型に合わせる必要はありません。
それでも計測範囲、始まりと終わり、スタッフへの合図は必要です。
構成が自由なほど、どこを固定し、どこをその場で変えるのかを共有しておきます。

全曲を止まらず演奏できない、曲の終わりが一致していない、機材の接続を説明できない場合は、曲順だけを変えても課題が残ります。
先に基本の演奏と段取りを整え、難しい新曲を冒頭や最後の見せ場へ置くかも再考します。
目的に合うことと、本番で実行できることの両方がそろってから採用します。

最終版を共有し、終演後の撤収まで決めます

修正したセトリで通し、決めた余裕を残して終えられたら、全員が同じ版を持つようにします。
曲順、MC、楽器交換、合図、短縮案をそろえ、会場指定の用紙と期限に従って提出します。
送信なら送信済みの記録や添付ファイルを確認し、受領連絡が必要な会場では返答まで確かめます。

当日変更があれば、メンバーだけで決めず、進行・音響・照明スタッフへ変更箇所を伝えます。
古い版が残らないよう最新版を渡し、変更した合図が伝わっているかを確認します。
スタッフが旧曲順で準備している状態を、演奏で押し切らないことが大切です。

終演後は、会場の指示に沿って誰がどの機材を運ぶかを決めます。
エフェクターボード、持ち込みスネア、ケーブルなど、自分たちの物を回収する担当を分け、会場の機材を誤って片付けないようにします。
写真撮影や長い会話は進行を妨げない場所とタイミングで行い、次の出演者へステージを渡すまでを予定に含めます。

まとめ|曲順が決まった後の通し確認で、セトリが完成します

30分のセトリは、出演先の条件、最初と最後の曲、中盤の変化、MCと曲間作業の順に組むと判断しやすくなります。
配分表は仮案なので、実際に演奏して、登場から退場までの時間を確かめて直します。

最終版と短縮案を共有し、終わりの合図と撤収まで決まれば、本番中に迷う場所を減らせます。
曲数や盛り上がり方の型だけを追わず、今回伝えたい印象を、持ち時間の中で再現できる構成にしていきましょう。

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参考資料