夏越の祓に行く前に確認したい、茅の輪のくぐり方と作法

初夏の神社の茅の輪と、夏越の祓に行く前にくぐり方と作法を知るための案内 暮らし・サービス

茅の輪くぐりは、左・右・左へ回る進み方がよく案内されています。訪れた神社の掲示を見て、一礼、輪をくぐる動作、正面へ戻る動作、最後の参拝までを一続きで捉えると分かりやすくなります。
神社によって回数の表し方、唱え詞、足の出し方、混雑時の動線が違うため、覚えた型と現地の案内が異なるときは、現地の指示に合わせます。

初めてだと、「三回くぐるのに、なぜ最後も輪を通るのか」「唱え詞を忘れたらどうしよう」と迷いやすいものです。
ここでは夏越の祓の意味を押さえたうえで、三つの周回と神前へ進む最後の通過を分けて説明します。
作法の言葉を覚えるだけでなく、実際にどこへ進み、分からなくなったらどうすればよいかまで見ていきます。

夏越の祓は、半年の節目に祓い清める神事

夏越の祓は「なごしのはらえ」、茅の輪は「ちのわ」と読みます。
6月の大祓を夏越の祓、12月の大祓を年越の祓と呼び、日々の暮らしの中で身についた罪や過ち、心身の穢れを祓い清める神事として行われています。
神社本庁も、半年ごとの節目に自らを振り返る機会として説明しています。

ここでいう穢れは、単に服や体についた汚れのことではありません。
宗教的な意味を持つ言葉です。「気分を切り替える行事」とだけ置き換えると、祓い清め、無病息災を祈るという意味が伝わりにくくなります。
その意味を知ったうえで、半年の暮らしを振り返り、これからの日々を大切に過ごす節目として受け止めることができます。

茅の輪は、茅(かや)や藁などを束ねて作られる輪です。
チガヤなどの草を刈り集めて作る神社もあります。
神社によって材料や形が異なり、大きな輪を神前や参道に設け、参拝者がくぐれるようにする例があります。
大祓の神事すべてを茅の輪くぐりだけで表すわけではなく、人の形に切った紙の人形・形代を用いる祓いなどもあります。

由来としてよく語られるのが、蘇民将来(そみんしょうらい)の故事です。
神をもてなした蘇民将来が、茅の輪を身につけるよう教えられ、災厄を免れたという伝承が、神社の案内で紹介されています。
物語の細部や神の呼び名には説明の違いがあり、伝承として受け継がれてきたことと、実際の病気を必ず防げるという説明は別です。

小さな輪を身につける伝承から、現在の大きな輪をくぐる所作へ目を向けると、単なる飾りではないことが分かります。
歴史の細部をすべて暗記してから訪れる必要はありませんが、無事を願うための神社の設えとして、大切に扱いたいものです。

初夏の境内に設けられた茅の輪と、夏越の祓の意味を案内する画像

「6月30日の式」と「輪をくぐれる期間」は分けて調べる

夏越の祓は6月末に行われる例が多くても、茅の輪をくぐれる日が当日一日だけとは限りません。
逆に、境内へ入れる時間ならいつでもくぐれる、とも決められません。
訪れる神社の公式サイトで、開催年、茅の輪の設置期間、参拝可能な時間、式の日時を別々に読みます。

たとえば武蔵御嶽神社の2026年案内では、夏越の大祓式は6月30日17時、輪をくぐれるようにするのは6月27日からで、撤去はおおよそ7月上旬とされていました。
式の日と設置期間が違う実例です。
これは終了した年の例なので、次回も同じ日程だと予定に入れず、その年の告知を見てから出かけます。

式へ参列したい場合には、受付、集合時刻、申込みの有無も必要になります。
一方、設置期間中に個人で参拝したいなら、式の進行中にも輪をくぐれるか、参列者と別の動線になるかを尋ねると、目的に合う答えを得られます。
「茅の輪はありますか」だけでなく、次のように希望を具体的にすると伝わりやすくなります。

○日に初めて伺う予定です。式への参列ではなく、個人で茅の輪をくぐって参拝したいのですが、その日にくぐれる時間帯を教えてください。

設置期間の終わりに近いときや、天候による変更が気になるときは、出発前に最新のお知らせを見直します。
日程が分からないまま、前年の写真に輪が写っていることだけを根拠に行かないほうが予定を立てやすくなります。

茅の輪の作法に戸惑った女性が列の外で案内を読む二コマ漫画

左・右・左の三周回と、最後に神前へ進む動作

まず輪の正面を確かめ、回るたびに同じ位置へ戻る

次は、三周回のあと神前へ進む型の説明です。
一礼と足の運び、左・右・左の周回から参拝へ進む流れを、鈴鹿明神社の公式案内に沿って見ていきます。
現地の図がある場合は、その図を見てから列へ入ると、輪の前で慌てずに済みます。

この説明でいう左右は、社殿に向かって輪の正面に立った位置を基準にします。
左へ一周、右へ一周と、輪の周りを巡り、その都度、手前の出発位置へ戻る動作です。
輪を通ってからすぐ引き返すのでも、輪の中で体の向きを変えるのでもありません。

順番輪を通るとき通ったあとの進み方
1周目正面で一礼し、左足からまたいで通る左側を回り、手前の出発位置へ戻る
2周目再び一礼し、右足から通る右側を回り、同じ出発位置へ戻る
3周目再び一礼し、左足から通る左側を回り、同じ出発位置へ戻る
最後一礼して、もう一度輪を通る周回せず、神前へ進んで参拝する

1周目は、輪を通り抜けたあと、輪の左側を回って正面の元の位置へ戻ります。
戻るところまでが一周です。そこで、次は右側へ回る動作に移ります。
「左足から通る」と「左側を回る」は別の動作なので、足を出しただけで左の周回を終えたと数えないようにすると、流れを追いやすくなります。

2周目は、正面で一礼し、右足から輪を通って右側を巡ります。
ここでも出発位置へ戻るので、途中で社殿へ進んではいません。
左右を交互に巡る部分が、八の字を描くようなくぐり方といわれるところです。

3周目は、再び左足から通り、左側を回って出発位置へ戻ります。
左・右・左の三つの周回はここまでです。
その後、一礼して輪を通り、今度は出発位置へ戻らず神前へ進むと、参拝につながります。

「三回」と「四回」の違いは、何を数えたかを見る

三周回のあとにもう一度輪を通る型では、輪を通過する回数は合計四回です。
三回は輪の左右を巡る部分、最後の一回は神前へ進むための通過、と分ければ矛盾しません。
「三回」という案内を見て、最後に社殿へ進む動作まで省いてよい、と判断しないことが大切です。

日枝神社は、左回り・右回り・左回りと八の字を書くように三度くぐり、進むと案内しています。
神社本庁の大祓の説明にも三回という表記があります。
短い回数表記だけで、すべての神社が同じ細かな手順だと決めず、図の終点や最後の進み方まで読むと、現地での動作へ結び付けられます。

覚えるときは「左・右・左で戻り、最後に神前へ」と、終わりの行き先まで含めると分かりやすくなります。
ただし、足の運びや混雑時の進行を含め、その場で別の案内があれば、訪れた神社のやり方に従います。

唱え詞は、意味と読み方を知り、現地の言葉に合わせる

夏越の祓でよく紹介される歌に、次の一首があります。

水無月の 夏越の祓する人は 千歳の命 のぶというなり

読みは「みなづきの、なごしのはらえするひとは、ちとせのいのち、のぶというなり」です。
水無月は6月、千歳は長い年月を表し、夏越の祓をする人の命が長く延びるという願いを込めた歌として受け止められます。
神社本庁の説明にも載っていますが、唱えることで寿命の延長が医学的に保証されるという意味ではありません。

「のぶ」「延ぶ」など表記の違いや、神社が掲げる別の唱え詞もあります。
自分が覚えた文言へ直そうとせず、その神社の掲示や神事の案内に合わせると、そこで大切にされている形を尊重できます。
大祓詞という神職が奏上する祝詞と、この短い歌も同じものではありません。

覚えきれていない場合は、列へ入る前に掲示を読み、読み方や唱えるタイミングが分からない箇所を神職へ尋ねます。
「初めてなので、この歌をどのところで唱えるか教えていただけますか」と聞けば、迷っている点が伝わります。声の大きさも、その場の案内で確かめられます。
輪の前でスマートフォンを探し始めると、足元や周囲へ注意を向けにくくなるため、こうした疑問は列に並ぶ前に解いておくと落ち着いて進めます。

声を出しにくい事情がある場合にも、自分で無理を重ねず、その神社でどう参加できるかを相談できます。
唱えられない人は参加できない、と一律に決める必要はありませんが、心の中で願えばどの神社でもすべて同じ作法になる、と断定することも避けたいところです。
祈る気持ちと、現地の具体的な案内の両方を大切にします。

唱え詞を暗記しようとした女性が現地で唱え方を尋ねようと考える二コマ漫画

鳥居から最後のお参りまで、参拝全体の中で進む

茅の輪だけを目的の撮影物として見るより、神社参拝の流れの中に置くと、最後にどこへ行くかが自然につながります。
鳥居の前で一礼し、参道を進み、手水が利用できる場合はその場の案内に沿って手や口を清めてから、茅の輪の案内を読みます。
参道の中央を避けて歩く配慮もありますが、通路の指定や人の流れがあるときは、その動線に従います。

手水の設備や使い方は神社の事情で変わるため、以前の方法を無理に再現しません。
柄杓が置かれていない場所で探し回ったり、使わないよう掲示された設備へ手を伸ばしたりせず、利用できる方法で進みます。
輪へ向かう前に荷物をまとめ、下がった紐や裾が輪に引っかかりにくい状態にしておくと、足元にも目を向けやすくなります。

くぐり終えたら、案内された方向へ進み、拝殿で参拝します。
二拝二拍手一拝を案内する神社が多くありますが、ここでもその神社の作法が基準です。
賽銭や鈴の案内を含めて落ち着いてお参りし、終えたら次の人が進めるよう場所を空けます。

二拝は深いお辞儀を二回、二拍手は手を二回打ち、そのあと祈り、最後にもう一度深くお辞儀をする流れです。
回数の言葉だけでは動作が浮かばないときは、このように分けて覚えることができます。
神職が先導する式では、個人参拝の動きを自分だけ先に始めず、進行の案内に合わせます。

茅の輪を通ったところで立ち止まって写真を撮り始めると、後ろの人の出口をふさいでしまいます。
参拝を終えてから、撮影可能な場所があるかを別に考えれば、祈りの流れと撮影を分けられます。
境内に入れることと、神事や社殿を自由に撮れることも同じではありません。

間違いに気付いたら、列を逆行せず、その場の案内を尋ねる

左右や足を一瞬迷ったときに、そのまま急いで動くと周囲の人とぶつかりやすくなります。
まず前後の人の動きを見て、安全に進める余地を保ちます。
元へ戻るために列を逆行したり、別の人の進路を横切って最初からやり直したりせず、係の人へ声をかけます。

「いま右へ回ってしまったのですが、どこから続ければよいですか」と現在の位置と迷った動作を伝えると、相談しやすくなります。
インターネットで見た型に戻すことだけを目指すより、その神社の動線の中で案内を受けるほうが確実です。
少しの間違いで必ず失礼になる、反対に何をしても問題ない、と両極端に考える必要はありません。

前の人と動きが違って見える場合にも、その人を直そうとする前に掲示を読みます。
団体で神職の先導に従っている、混雑時の進行が指定されているなど、個人で参拝するときと条件が違うこともあります。
神社による違いを知っておくことは、作法を軽く扱うことではなく、その場のやり方を尊重するために役立ちます。

作法を覚えきれない不安が大きい人は、混み合う列に入る前に社務所で尋ねる方法もあります。
「三周回のあと、最後はどちらへ進みますか」「足の運びまで指定がありますか」と、疑問を分けて聞けば、一度にすべてを暗記しようとせずに済みます。
一人で参拝する場合も、同行者の動きに頼る代わりに、先に案内を読める時間を取ると落ち着いて進めます。

服装・体調・同行者に合わせて、無理なく参加する

普段着でも、裾や荷物と足元に目を向ける

個人で参拝する場合と、式へ参列する場合では、服装や受付の案内が違うことがあります。
参列の指定があればそれに合わせ、特に案内がない参拝では、境内を歩き、輪をまたぐ動作を妨げない服装を考えます。
長い裾、肩から垂れた紐、大きく張り出す荷物などは、輪や周囲の人に触れやすい部分です。

雨の後には、濡れた石や地面が滑りやすくなることもあります。
写真に合う靴かどうかだけでなく、実際に歩きやすいか、輪の下や台座を安全に越えられるかを見ます。
輪へつかまって体を支える前提にはせず、動作が難しければ係の人に通れる方法を尋ねます。

6月末は、日差しや蒸し暑さの中で待つことも考えられます。
水分や日差しへの備えを用意し、長い列に並べる体調かを同行者とも確かめます。
体調が悪いときは無理にその日中に済ませず、設置期間内の別の日に参拝できるかを神社へ相談する選択があります。

子どもや高齢の家族と行くなら、動ける範囲を先に確かめる

家族と訪れる場合も、全員が同じ速さで回れるとは限りません。
段差、通路の幅、列から休憩場所へ移れるかなどを現地で見て、付き添いが必要なら係の人へ伝えます。
車いすや歩行補助具を使う場合も、輪や台座の形だけで通れると決めず、動線と利用可能な方法を尋ねるほうが確実です。

子どもには、細かな由来を一度に覚えさせるより、「順番に進んで、最後にお参りする」「草を引っ張らず、大切にする」と具体的に伝える方法があります。
ただし、子どもだけで人の流れへ入れたり、輪にぶら下がって遊ばせたりしないよう、大人がそばで動きを見ます。
正しい足を出すことに気を取られ、無理な姿勢になる場合には、安全に動ける方法を係の人へ相談します。

写真を撮る前にまず参拝を済ませようとスマートフォンをしまう女性の二コマ漫画

写真・茅の持ち帰り・形代は、それぞれの案内を読む

撮影は、禁止表示、神事中の扱い、他の参拝者が写る範囲を先に見ます。
許可された場所でも、輪の正面で長くポーズを取り続けたり、通路をふさいだりしないことが大切です。
参拝の列から離れた場所で短く撮れるかを考え、難しければ撮らずに過ごすこともできます。

茅の輪の草を引き抜き、記念やお守りとして持ち帰ることは控えます。
授与所で受ける小さな茅の輪などと、境内に設置された輪の材料は別です。
授与品が欲しいなら、授与の有無や受け方を尋ね、参拝者が通る輪へ手を加えないようにします。

形代を用いる祓いを希望する場合には、名前や年齢などの記入事項、納める期限、初穂料、参列・郵送の扱いを、その神社の案内で読みます。
輪を個人でくぐることと、形代を納めて神事へ申し込むことは、手続きが同じとは限りません。
茅の輪くぐりの記事に書かれた他の神社の金額を、そのまま持参する額の基準にはしないことが大切です。

喪中で迷うときは、忌の期間と地域の慣例を分ける

身内に不幸があった場合、喪中の一年間すべてが、神社への参拝を控える期間になるとは限りません。
神社本庁は、地域に特別な慣例がなければ、一般に五十日祭までを「忌」、一年祭までを「服」の期間と説明しています。
忌の50日を過ぎれば、原則として参拝などを再開して差し支えないという案内です。

一方で、地域や家の慣例がある場合には、その事情を無視して日数だけで決めません。
忌中に参拝する必要があるときや、どう数えるか迷うときは、訪れる神社へ事情を伝えて相談します。
「喪中だから一年間すべて不可」「50日を過ぎればどの事情でも同じ」と一律に扱わず、自分の事情に合う案内を受けます。

まとめ

茅の輪くぐりは、夏越の祓の意味を知り、現地の進み方に沿って神前への参拝まで行うと、ひとまとまりの流れとして理解できます。
左・右・左という言葉に、出発位置へ戻る動作と、最後に神前へ進む動作を重ねれば、回数だけを覚えるより迷いにくくなります。

出かける前には、設置期間と式の日時を分けて調べ、現地では列へ入る前に図や唱え詞を読んでおきます。
分からないところは、その場の神職や係の人へ具体的に尋ねられます。
自分や同行者の体調、周りの参拝者の流れにも目を向けながら、季節の節目を大切に過ごしたいものです。

参考資料