洗濯物に黒いカス・赤黒い汚れが付く原因は?洗濯槽の掃除とクリーナーの選び方

白いタオルに付いた黒い薄片と洗濯機。黒いカスの原因を調べるイメージ。 暮らし・サービス

洗った服に黒いカスが付く場合は、衣類から出た繊維や紙くずなのか、洗濯槽から出てきた汚れなのかを切り分けるところから始めます。
茶褐色や黒い薄片が何度も付くなら槽の汚れやカビが疑われますが、赤黒い点や衣類全体の黒ずみまで、色だけで同じ原因とは決められません。

槽洗浄が必要なときの選び方は、洗濯機とクリーナー、両方の使用条件が合うことが出発点です。
「縦型だから酸素系でよい」とは限りません。
付着した衣類への対処、洗浄剤の選び方、掃除を終えてから確かめる点まで、順を追って説明します。

黒いカスと、布に染み込んだ汚れを分けて考える

表面に乗る薄片か、取れないシミかを見る

気になる服をいったんほかの洗濯物と分け、明るい場所で付着物を見ます。
表面に乗った小さな紙や糸なのか、薄い膜のようなものなのか、それとも布そのものが赤く、黒く変わっているのか。
この違いによって、調べる場所も次の手入れも変わります。

洗濯物の状態まず調べる対象対処の方向
紙や繊維に見えるものが一度付いたポケット、毛羽の出やすい衣類、糸くずフィルター付着物を取り、混入元とフィルターを手入れする
茶褐色・黒い薄片が繰り返し付く槽の汚れやカビ、洗剤投入口など機種に合った槽洗浄を行う
赤黒い点や色移り、全体の黒ずみがある同時に洗った衣類、金属小物、洗剤・柔軟剤の使い方槽のカビと決めず、衣類の変色としても調べる
異音、水漏れ、焦げたにおい、エラーを伴う洗濯機の異常時の案内使用を中止し、メーカーや購入店へ相談する

紙くずならポケットのティッシュなど、繊維ならタオルなどの毛羽が手がかりになります。
糸くずフィルターが詰まったり破れたりしていると、回収できなかった繊維が服に付く場合もあります。
フィルターを外す手順と取り付け位置は説明書で確かめ、破損していれば対応する部品に交換します。
見た目の似たカスが一度出ただけで、強い薬剤を追加する必要はありません。

一方、ポケットに原因がなく、複数の洗濯で薄片が繰り返し付くなら、槽の手入れを調べる段階です。
普段見える槽の内側がきれいでも、裏側に洗剤残りや皮脂などの汚れが蓄積することがあります。
そうした汚れがカビの栄養となり、湿った環境で増えたカビを含む汚れが洗濯物へ付く可能性があります。
裏側を見るために、自分で槽を取り外すことは避けてください。

赤黒い汚れや黒ずみには、別の原因もある

布に色が染み込んだような状態は、薄片が乗っている状態と同じ扱いにはできません。
色の濃い衣類からの色移り、金属小物のさび、洗い落とせなかった汚れの再付着なども確認する対象です。
洗剤や柔軟剤の量、衣類の詰め込みすぎが黒ずみに関係することもあります。

赤やピンクの変色も、すべてカビとは限りません。
日立は、日焼け止めの付いた衣類に塩素系漂白剤を使うとピンクに変色することがあると説明しています。
赤黒いという色名だけを頼りに漂白剤を足すと、原因に合わない処置になりかねません。
同時に洗った物、使った洗剤や漂白剤、付着した時期を控えると、衣類や洗濯機の相談窓口へ状況を伝えやすくなります。

黒い付着物を見た男性が、取れるカスと染みを分け、衣類と洗濯機を別々に調べようとする3コマ漫画。

いま汚れが付いた衣類は、槽の掃除と分けて対処する

紙や糸くずが表面に乗っているなら、手で摘まめる物を取り、乾いた衣類の糸くずは軽くはたき落とします。
取れにくい糸くずには粘着式の衣類クリーナーを使う方法もありますが、毛足の長い生地など、粘着で傷む物には無理に使いません。
カスを布へ強くこすり込んだり、正体が分からないまま漂白剤を直接かけたりすることは避けます。

洗い直す前には、水洗いできる衣類か、使える洗剤や漂白剤は何かを洗濯表示で確かめてください。

紙や糸くずが原因なら、混入元を取り除き、フィルターを手入れしてから、衣類に適したコースで洗い直す方法が考えられます。
槽から薄片が繰り返し出るなら、先に対応する槽洗浄を終え、カスが残っていないことを確かめてから衣類を洗います。
汚れが出続けている槽へすぐ戻すと、服を洗い直しても付着を繰り返すおそれがあるためです。

洗い直したあとは、濡れているときだけでなく、乾いた状態でも付着やシミが残っていないかを見ます。
カスが取れても黒ずみや色移りが残る場合は、衣類そのものへの処置が必要です。
そのときは衣類と漂白剤の表示を両方読み、使用できる組み合わせでのみ、表示された濃度・時間で手入れします。

洗濯槽用クリーナーを、衣類のシミ抜きに使ってはいけません。
水洗いできない物、色落ちが心配な物、原因の分からないシミが残る物は、無理に処置を重ねず、衣類のメーカーやクリーニング店へ相談する方法があります。
付着物と変色を分けて説明できるよう、処置前の写真を残しておくと役立ちます。

クリーナーは「酸素系か塩素系か」より、機種への適合で選ぶ

洗濯機の型番と、製品表示を組み合わせる

洗濯機本体のラベルや保証書で型番を控え、取扱説明書の「槽洗浄」「お手入れ」を開きます。
見るのは、使える洗浄剤の種類、使用量、選ぶコース、投入の時期です。
説明書が手元になければ、メーカーの公式サイトで型番から探せます。

次に、購入するクリーナーの対象を確かめます。
縦型・ドラム式・二槽式のどれに使えるかだけでなく、除外される機種、必要な水量や水温、使用時間までが選ぶ条件です。
クリーナーに「縦型用」とあっても、洗濯機側でその成分を使用しないよう案内されていれば、その組み合わせでは使いません。
記載が食い違う、対象か分からないときは、型番と製品名をメーカーへ伝えてから使用を決めます。

種類・使用例確認できた用途読み落としたくない条件
花王「洗たく槽ハイター」粉末酸素系の槽用洗浄剤。対応する縦型全自動向けドラム式・二槽式は対象外。洗濯機側の制限も必要
塩素系の専用槽クリーナー対応する槽の汚れを洗浄する製品縦型用・ドラム式用、容量、コースを製品別に確認
衣類用塩素系漂白剤洗濯機が指定する予防のお手入れなど衣類用であることと、機種の指定量・手順が条件

酸素系の製品を使える洗濯機がある一方、パナソニックは酸素系、界面活性剤配合、高発泡タイプを槽洗浄にすすめていません。
日立の縦型BW-DX120Cの説明書にも、酸素系漂白剤や台所用漂白剤を使用しないよう記載があります。
泡が多量に発生すると、水漏れや故障につながるためです。
「ドラム式だけ気を付ければよい」という分け方では、この制限を見落とします。

花王の「洗たく槽ハイター」は、同社が粉末酸素系と説明する槽用洗浄剤で、衣類用の酸素系漂白剤とは別です。
一方、衣類用塩素系漂白剤を使うお手入れも、機種が指定している場合の方法です。
名称の似た台所用漂白剤へ置き換えたり、専用クリーナーと同じ量を入れたりはできません。
「酸素系は予防、塩素系は汚れがひどいとき」と一律に決めず、機種と製品の組み合わせで選ぶことが大切です。

一種類だけで使い、濃くする・混ぜる工夫をしない

クリーナーは、その製品の表示どおり単独で使用します。
特に塩素系と酸性の製品、クエン酸、酢を混ぜると、有害な塩素ガスが発生するおそれがあります。
「仕上げに中和する」つもりで、別の洗剤を足すことも避けてください。
換気、手袋、目や皮膚への付着を防ぐ扱いも、においの強さではなく製品表示に従います。

重曹やクエン酸を槽クリーナーの代わりにする方法も、安易にはすすめられません。
パナソニックは、重曹の溶け残りによる排水経路の詰まりや、酸による金属部品への影響を挙げています。
汚れを落とすための手入れで機器を傷めないよう、槽洗浄に指定された製品を使います。

酸素系と塩素系の槽用クリーナーを別々に置き、混ぜずに表示を確認することを示すイメージ。

槽洗浄は、投入の時期から終了後のすすぎまで確認する

開始前に、衣類を出して必要な時間を確保する

槽洗浄は衣類を入れずに行います。
槽内を空にし、説明書が指定するフィルターなどの事前の手入れを済ませます。
コース名が同じでも所要時間や使用剤は機種によって異なるので、途中で洗濯が必要にならない時間帯を選んでください。
短時間の自動お手入れと、薬剤を使う槽洗浄が別になっている機種もあります。

用意するものは、適合を確かめた洗浄剤と、その製品が求める保護具です。
熱湯を足す、指定より高い水温にする、放置時間を延ばすといった変更で効果を上げようとはしません。
給水前に投入するか、給水後に一時停止して投入するかも、説明書と製品表示で確かめる項目です。

液体と粉末では、最後にすることも違う

たとえば、パナソニックの専用液体クリーナーの案内には、槽洗浄を開始し、給水後に一時停止して指定の全量を入れ、再開して終了させる流れがあります。
ただし、これは対応機種と該当製品の組み合わせでの例です。
ほかの製品へ投入の順序や一瓶の量を流用しないでください。

同社の粉末タイプには、アルミ包装から取り出した二種類の不織布袋を破らずに槽へ入れ、終了後にその袋を取り出して捨てる製品もあります。
「粉末だから袋を破って振り入れる」と考えると使い方を誤ります。
液体か粉末かという見た目だけで手順を決めず、取り出す物があるかまで使用前に読んでおく必要があります。

別の例として、花王「洗たく槽ハイター」の公式案内は、高水位のぬるま湯または水に全量を入れ、2~3分運転して溶かし、約2時間置いてから標準コースで洗い・すすぎ・脱水を行う方法です。
汚れが残る場合は、さらに1~2回、標準コースですすぐよう案内されています。
この例も、洗濯機と製品双方の適合が確認できた場合に限ります。

途中で浮いた汚れをすくう必要があるかは、製品と機種の案内によります。
すべての槽洗浄で手作業を挟む必要はありません。
すくう方法を指定されている場合でも、安全に停止し、ふたを開けられる手順に従います。
回転している槽に手や網を入れたり、ドアのロックを無理に解除したりしないでください。

槽洗浄を終えた男性が、次の洗濯の前に残ったカスとフィルターを確かめようとする2コマ漫画。

終了表示、残ったカス、次の洗濯まで見る

コースの終了後は、途中停止やエラーではなく、正常に終わったことを表示で確かめます。
取り出す袋などがある製品なら取り出し、槽の内側とフィルターにカスが残っていないかを見ます。
フィルターは説明書どおりに手入れし、所定の位置へ戻してから次の運転に進みます。

カスが残る場合は、クリーナーと機種が案内する追加すすぎを行います。
ここで別の洗浄剤を追加する必要はありません。
その後の洗濯でも薄片が付く、においが続く、エラーが出る場合は、量や濃度を増やす前にメーカーや購入店へ相談してください。
型番、使ったクリーナー、選んだコース、洗浄日とその後の症状が分かれば、次の対応を相談しやすくなります。

なお、ワカメのような汚れが大量に浮かなかったことだけで、掃除が失敗したとも、槽が完全にきれいだったとも判断できません。
汚れを分解して溶かす製品では、浮遊物の見え方も異なります。
指定の工程が完了したか、残りがないか、次の洗濯で付着が続くかを、製品の案内と合わせて見ます。

再発を減らす手入れは、洗剤量と湿気から

毎日の扱いで、汚れと湿気をためにくくする

洗い終わった衣類は、できるだけ早く取り出します。
濡れたまま槽に置き続けると湿気が残るため、干す、乾燥運転へ進むなど、その洗濯を最後まで終えることが基本です。
脱いだ服や濡れたタオルを洗濯槽へためる使い方も避け、洗うまでの置き場は槽と分けます。

洗剤と柔軟剤は、それぞれ洗濯量や水量に合う表示量を使います。
多めにすれば槽がきれいになるわけではなく、残った成分が汚れの蓄積につながることがあります。
汚れの多い衣類を詰め込みすぎていないか、すすぎ方が衣類や洗剤の条件に合うかも、黒ずみが続く場合の見直しどころです。

投入口、糸くずフィルター、ドアのパッキンなどは、取り外せる範囲と洗い方を機種の説明で確かめます。
自動槽洗浄や槽乾燥の機能があれば、初期設定で有効なのか、どのコースで働くのかまで読んでおくと、機能名だけを頼りにしない手入れにつながります。

縦型洗濯機と別のかごに入れたタオル。湿気や濡れ物をためない手入れのイメージ。

ふたを開けて湿気を逃がす扱いは、機種と家庭の安全条件を含めて考える必要があります。
特にドラム式について、日本電機工業会は使用後にドアを閉め、子どもが容易に開けられないようチャイルドロックを活用することを案内しています。
子どもやペットが近づく環境でドアを開放したままにせず、槽乾燥など、機種が示す方法で湿気に対処してください。

掃除の頻度は、使用剤とコースを一緒に記録する

「月に一回」だけを覚えると、何を使うお手入れなのかが曖昧になります。
パナソニックは、衣類用塩素系漂白剤による月一回の予防と、専用槽クリーナーによる年一回を目安にした洗浄を別に案内しています。
専用クリーナーも、使用環境によっては年一回以上必要になる場合があります。
一方、花王「洗たく槽ハイター」の案内は二か月に一度が目安です。

いずれも全機種共通の回数ではありません。
自分の洗濯機と製品の指定が分かったら、カレンダーに「型番・槽洗浄のコース・使う製品」をセットで登録します。
掃除した日と付着物の有無も残せば、同じ症状がいつから続いているかを、次の手入れや相談で振り返れます。

筆者の手入れ習慣と、縦型へ買い替えた理由

筆者は、これまで洗濯物にカビが付いた経験はなく、月に一回ほど酸素系クリーナーを使ってきました。
ただし、これは筆者の使用歴であり、酸素系をすべての洗濯機に使える根拠にはなりません。
手入れを続けていても、今使っている機種と製品の適合は別に確かめる必要があります。

ドラム式洗濯機を使ってきた期間は約30年間です。
衣類乾燥の機能はほとんど使わず、中腰で出し入れする姿勢がつらくなったため、縦型へ買い替えました。
乾燥機能をどれほど使うかに加え、毎日の出し入れを無理なく続けられるかも、筆者にとっては大きな選択理由でした。

濡れたタオルはすぐに洗い、洗濯後はふたを開ける習慣もあります。
ふたの扱いは、前の節で触れた機種の案内と家庭の安全条件を優先してください。
縦型かドラム式かだけでカビの付きやすさを決めることはできず、買い替える場合も、出し入れの姿勢、乾燥の使用頻度、フィルターやパッキンの手入れ方法まで見比べると、自分の使い方に合うかを考えやすくなります。

まとめ

黒いカスを見つけたら、表面の付着物と布の変色を分け、ポケットやフィルター、槽の汚れを順に調べます。
槽洗浄では、機種とクリーナー両方の条件を満たすことが、薬剤の種類や価格より先です。

掃除は運転を始めて終わりではありません。
正常終了、取り出す物、残ったカスとフィルター、次の洗濯での付着まで見届けることで、衣類を洗い直す段階へ進めます。
症状が続く場合は、同じ掃除を強く繰り返すより、型番と実施内容を伝えて相談するほうが次の手掛かりになります。

参考資料