猛暑の在宅ワークで集中できない原因は?暑さに負けず集中力を維持する仕事術

冷房と扇風機を使う仕事席で、温湿度を見直す在宅ワークのイメージ。 仕事・文書・言葉

猛暑の在宅ワークで集中できないときは、仕事席を涼しくすることを先に済ませ、その後で作業の量と区切り方を変えます。
エアコンの設定温度だけで判断せず、机の近くの温度・湿度、日差し、風の届き方、体調を一緒に見直すと、何を変えるべきかが分かります。

ただし、頭痛、吐き気、めまい、強いだるさがあるときは、集中する工夫より仕事の中止と身体を冷やす対応が先です。
「あと一件だけ」と続けず、まず涼しい場所へ移ってください。

筆者も、夏の在宅勤務ではエアコンと扇風機の調整を試してきました。
実感としても、エアコンの設定温度だけを見るより、仕事をする席の暑さや風の届き方を確認するほうが環境を整えやすくなります。
ここからは、体調の判断、仕事席の調整、作業の組み直し、調整後の確かめ方の順に説明します。

体調が悪いときは、仕事の効率より先に身体を冷やす

暑い室内でぼんやりするとき、原因を気合や年齢だけに求めると、体調の変化を見逃します。
めまい、立ちくらみ、筋肉のけいれん、大量の汗、頭痛、吐き気などは、熱中症で見られる症状です。
すべてがそろうまで待つ必要はありません。

中止した後にすること

エアコンの効いた部屋など、涼しい場所へ移ります。
衣服を緩め、首の周り、脇の下、脚の付け根などを冷やしてください。
意識がはっきりしていて自分で飲める場合は、水分・塩分を補います。
経口補水液などを使う場合も、腎臓病や心臓病などで水分・塩分の制限を受けている方は、医師の指示が優先です。

呼びかけへの反応がおかしい、自力で水分を飲めない、まっすぐ歩けない、けいれんがあるなどの状態なら、119番で救急車を呼びます。
無理に飲ませてはいけません。
一人で仕事をしている場合は、家族や同僚などへ体調が悪いことを伝え、連絡できる状態を保ちます。
冷やしても症状が改善しないときも、仕事へ戻らず医療機関へ相談してください。

予定した休憩時刻まで我慢しない

後で紹介する25分や50分という作業の区切りは、涼しい環境で予定を立てるための例です。
その時間まで働けば安全、という基準ではありません。
途中で暑さや体調の異変を感じたら、タイマーや会議の終了を待たず中断します。

仕事先への連絡は、「体調不良のため作業を中断します。対応が必要な案件は〇〇です」のように、状況と引き継ぎが必要な仕事を短く伝えれば十分です。
連絡文を整えるために、身体を冷やす対応を遅らせないようにします。

暑さで体調に異変を感じたら仕事を止め、涼しい場所で休むイメージ。

暑さで集中しにくくなる理由

暑いと、身体は汗をかいたり皮膚の血流を増やしたりして熱を逃がそうとします。
湿度が高い日は汗が蒸発しにくく、温度の数字だけでは負担を捉えられません。
汗のべたつきやまぶしさが気になり、そのたびに文章を読み直すような中断も増えます。

例えば、資料を読んでいて何度も「暑い」「風が来ない」と意識が移ると、内容を頭へ戻す手間がかかります。
仕事内容を簡単にするだけでは、この環境による中断はなくなりません。
まず室内の熱を減らす理由はここにあります。

2018年に公表された研究では、2016年の米国ボストン地域の大学生44人について、熱波の期間に空調のない寮で生活した学生と空調のある寮の学生を比べています。
空調のない寮の学生は、起床後に行った認知課題の成績が低下しました。
ただし、これは在宅勤務者全員の仕事の能率や、一日を通した最適な室温を測った実験ではありません。
「室温が何度なら誰でも何%集中力が落ちる」という数値には置き換えられず、睡眠、体調、湿度、仕事の難しさも考える必要があります。

仕事席の暑さを測り、冷房・風・日差しを調整する

同じ部屋でも、窓際、パソコンの周り、冷房の風が届く場所では状態が違います。
リモコンの数字を変える前後に、実際に座る場所がどう変わったかを見ると、調整が空回りしにくくなります。

体調に異変がないときは、次の順に整えると、仕事を細かくするだけで暑さを我慢する状態を避けられます。
具体的な調整方法は、この後の各節で説明します。

優先順位整えるもの行動と見直すサイン
1仕事席の温度・湿度机の近くを測って冷房を調整。汗やだるさが続くなら作業を続けない
2日射と熱源西日が入る前に遮光し、不要な機器を止める
3空気の流れ部屋の一部だけ暑いなら、風で冷気の偏りを減らす
4水分と休憩飲み忘れや座り続けを防ぐため、飲み物と休憩を予定へ入れる
5仕事の難しさ午後にミスが増えるなら、重要な判断を涼しく保ちやすい時間へ移す

28℃は冷房の設定温度でも安全保証でもない

クールビズの28℃は、冷房の設定温度ではなく室温の目安です。
外気温、湿度、日射、建物、体調などに応じて調整するもので、必ず守る数字ではありません。
28℃設定で汗をかき続けているのに、節電のため設定を下げてはいけないと思い込む必要はありません。

温湿度計は机の近くの、直射日光、エアコンの風、パソコンの排熱が直接当たらない場所へ置きます。
製品の設置方法に従い、午前、午後、西日が入る時間の変化も見てください。
入口では涼しくても仕事席だけ暑いなら、席の位置や冷気の流れを変える判断につながります。

机の近くの温湿度計を確かめるイメージ。表示数値は筆者の測定結果ではありません。

エアコンで冷やし、扇風機で空気を動かす

先に冷房で室内を涼しくし、温湿度計と身体の状態を見ながら設定を微調整します。
湿気が気になる場合は除湿機能も候補ですが、除湿方式によって室温や電力消費が変わるため、機種の説明書も見て使い分けます。

扇風機やサーキュレーターは、冷房のように部屋の熱を取り除く機器ではありません。
風で汗の蒸発を助けたり、冷気を循環させたりする役割です。
机まで冷気が届かない場合は、足元付近にたまる冷たい空気を部屋へ送る向きも試します。
身体へ風を当てる使い方と、部屋の空気を回す使い方を分けると調整しやすくなります。

風が強くて寒い場合は、弱風や首振りに変える、風向きをずらすといった調整から始めます。
足だけ冷えて顔が暑い場合も、部屋全体をさらに冷やす前に、空気の偏りを減らしてみます。
極端に暑い室内では扇風機だけで熱による健康被害を防げない場合があるため、風が当たることを理由に暑い部屋へとどまらないでください。

日差しと機器の熱を減らす

東向きの窓は午前、西向きの窓は午後の直射日光に注意します。
カーテン、ブラインド、すだれなどで日差しを遮り、机や床が熱くなる前に対処すると、午後の負担を抑えやすくなります。
机の移動が可能なら、オンライン会議の背景だけで決めず、身体へ日が当たらない場所も候補にします。

使っていないディスプレイ、照明、プリンターなどは電源を切ります。
パソコンの吸排気口を紙や壁でふさがず、取扱説明書に沿って熱が逃げる空間を確保してください。
ファンの音が大きい場合も、まず吸排気の妨げやほこりなど、利用者が点検できる範囲を見ます。
機器の分解を自己判断で行う必要はありません。

換気では、外気が室内より暑い時間帯に窓を開け放すと、熱い空気が入ることがあります。
必要な換気をしながら、外気が比較的涼しい時間を使う、開放時間を短くするなど、室内が再び暑くならない方法を考えます。
夜間に涼しい外気を取り込める場合も、防犯や建物の換気設備の条件に合わせてください。

日差しが入る前にブラインドを閉め、室内への熱を減らすイメージ。

涼しくなってから、仕事を小さく区切る

環境が整ったら、今日の仕事を「頭を使う仕事」と「比較的定型的な仕事」に分けます。
勤務時間や会議の制約がある方は、その範囲で順番を変え、開始時刻の変更が必要なら職場へ相談します。
暑さ対策のために無断で勤務時間をずらす必要はありません。

大事な仕事は、期限と周囲への影響で決める

午前中のほうが作業場所を涼しく保ちやすいなら、企画、文章作成、計算などを先に置きます。
午後へ回す候補は、メールの整理、定型入力、ファイルの整理などです。
午後なら暑い部屋で簡単な仕事を続けてよい、という意味ではなく、冷房を使ったうえで負荷を調整します。

何から始めるか迷う場合は、期限が近い仕事、自分の返答がないと他の人が進められない仕事、間違いの影響が大きい仕事から見ます。
その中から最初に終える一つを決め、必要な画面や資料だけを開いて取りかかります。
全部を今日終える予定が難しければ、締切の相談や引き継ぎを早めに行うほうが、疲れてから抱え込まずに済みます。

「報告書を書く」を、戻りやすい作業へ分ける

大きな仕事をそのまま予定に入れると、中断した後にどこから再開するか迷います。
例えば報告書なら、「必要な資料を3つ集める」「見出しを並べる」「最初の説明を200字ほど書く」のように区切れます。
3つ、200字は仕事を分ける例で、達成必須の量ではありません。

一区切りの最後に、「次は売上表の数字と文章を照合する」のような一行を残しておくと、休憩後の入り口になります。
休憩後は前の段落や直前の入力を見直し、読み落としや誤入力がないか確かめてから進めます。
速く取り戻そうとして確認を飛ばすより、短い再確認を挟むほうが仕事の状態をつかめます。

休憩後の再開に迷う女性が、次にする仕事を一行メモに残す2コマ漫画。

休憩は画面から離れる時間にする

涼しい環境で、25分や50分など自分に合う区切りを決め、間に数分の休憩を入れる方法があります。
席を立つ、水分を補う、温湿度計と身体の状態を見るといった動きを予定へ組み込みます。
スマートフォンを見続けるだけでは画面から離れにくいため、目を休め、無理のない範囲で姿勢も変えます。
暑い屋外での運動を、仕事の合間の必須メニューにする必要はありません。

水分補給を、忘れにくい配置と予定にする

飲み物を取りに行くのが面倒で後回しになるなら、仕事を始める前に水やお茶を手元へ用意します。
喉が渇く前からこまめに飲み、休憩も補給のきっかけにすると、作業へ入り込んだときの飲み忘れを減らせます。
キーボードへこぼれにくい置き場所も決めておくと、仕事中に扱いやすくなります。

大量に汗をかいた場合は塩分の補給も必要になりますが、座っている人全員が常に塩分入り飲料を飲む必要はありません。
持病や服薬があり、水分・塩分の量に指示がある場合はその指示に従います。
アルコールを水分補給の代わりにせず、カフェインの多い飲料の飲み過ぎにも気を付けます。

水を手元に置き、作業の区切りに水分を補給するイメージ。

調整しても集中できないときに見るところ

対策を増やす前に、どの問題が残っているかを分けます。
次の表は原因を断定するものではなく、次に見る場所の目安です。

残っている状態次に見るところ対応の方向
冷房を使っても仕事席が暑い日射、冷気の流れ、フィルター、室外機周り説明書の範囲で点検し、改善しなければ管理会社や修理窓口へ
足元は寒く、顔周りは暑い風向きと空気の偏り首振りや送風位置を変え、身体への直風を弱める
会議中だけ暑くなる照明、ヘッドセット、服装、機器の発熱不要な照明を消し、支障のない範囲で装備を調整
涼しくしても眠気やミスが続く睡眠、食事、体調、仕事量休息と負荷を見直し、不調が続けば医療機関へ相談
一時的にはよいが午後に悪化する西日と室温・湿度の時間変化暑くなる前の遮光と空調、仕事の配置を見直す

冷房が効かない場合、フィルターの手入れや室外機周りの障害物などは説明書に沿って見ます。
部屋の広さと機器の能力が合っていない場合もあるため、日射や送風を調整しても改善しないときは、設置条件も相談材料になります。
点検できる範囲を超える場合は分解せず、賃貸なら管理会社、持ち家ならメーカーなどへ相談します。
部屋を涼しくしても強い眠気やだるさが続くなら、暑さだけが原因とは限りません。
睡眠不足や体調の変化も考え、症状が続くときは受診を検討してください。

変える前後を比べて、翌日の対策を決める

体調に問題がない範囲で、時刻、仕事席の温度・湿度、冷房と風の状態、仕事内容、疲れやミスを簡単に記録します。
一週間ほど記録すれば、午後の日差しや会議の時間など、繰り返す困り方が見える場合があります。
例えば「10時は快適、14時は西日で暑い、15時は読み直しが増えた」といった短い記録で構いません。
不調を我慢して一週間の記録を完成させる必要はありません。

例えば、午前と午後で席の暑さが違うなら、翌日は日差しが入る前に遮光します。
風向きを変えた後は、顔の暑さが和らいだか、足元が冷え過ぎていないか、同じ文章を何度も読み直していないかを見ます。
温度の数字だけを下げるのではなく、身体と仕事の状態が改善したかで次の調整を決めてください。

まとめ

猛暑の在宅ワークでは、体調に異変があれば中止し、問題がない場合も仕事席の暑さを先に減らします。
冷房で熱を減らし、送風で冷気を回し、日差しと機器の熱を抑えたうえで、仕事を小さく区切ります。
調整後は温湿度計だけでなく、汗やだるさ、読み直しやミスの状態まで確かめると、翌日の改善につながります。

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参考資料