梅雨入り・梅雨明けは、気象庁がそれまでの天候と今後の見通しをもとに、地方ごとに判断します。
主な根拠は日照時間の変化です。
「雨が何日続いたら梅雨入り」「気温が何度を超えたら梅雨明け」という、一つの数値だけで決まる仕組みではありません。
雨や曇りの多い時期へ移ったか、反対に夏の天候へ移ったかを見ているので、発表した日に晴れたり、梅雨明け後に雨が降ったりしても、それだけで矛盾にはなりません。
ニュースの「梅雨入りしたとみられる」や日付の「頃」にも、この季節の変わり方が関係しています。
梅雨入りと梅雨明けは、一日の天気では決まらない
日照時間の変化を中心に、天候の続き方を判断する
気象庁がいう梅雨は、晩春から夏にかけて雨や曇りの日が多くなる現象、またはその期間です。
梅雨入りはそのような天候が増えて日照時間が少なくなる期間の始まり、梅雨明けは雨や曇りが減って日照時間が多くなる期間の始まりに当たります。
ここで大切なのは、ある日の雨量の多さだけを測って区切るのではないという点です。
たとえば一日だけ大雨になっても、その前後に晴れの多い状態が続くなら、その雨だけで梅雨入りとは決められません。
反対に、雨や曇りが続く時期の途中で一日晴れても、その後また同じような天候へ戻る見通しなら、晴れた一日を梅雨明けとみなすのは早いことになります。
| 判断するもの | 梅雨入り | 梅雨明け |
|---|---|---|
| 天候の変化 | 雨や曇りが増える時期の始まり | 雨や曇りが減る時期の始まり |
| 主な根拠 | 日照時間が少なくなる変化 | 日照時間が多くなる変化 |
| それだけでは決められないとき | 雨の有無や大気の流れ、その持続性も考慮 | 雨の有無や大気の流れ、その持続性も考慮 |
日照時間だけでは判断しにくい場合、気象庁は高気圧の張り出しや偏西風の位置なども考慮します。
梅雨や盛夏に特徴的な大気の状態が現れ、それが続くかを見るためです。
表の項目を一つ満たせば自動的に発表されるのではなく、季節の変化を複数の情報から捉えています。

蒸し暑さや梅雨前線の位置だけでは決まらない
蒸し暑くなると「もう梅雨では」と感じますが、体感の湿度や気温だけが発表の基準ではありません。
暮らしの実感と季節の発表は関係していても、同じものを測っているわけではないのです。
また、天気図に梅雨前線が描かれていない日でも、梅雨の状態は続くことがあります。
気象庁は、前線が原因でない雨でも、雨が続く場合は梅雨として扱うと説明しています。
前線の線が消えたから梅雨明け、太平洋高気圧が張り出したから必ず梅雨明け、という読み方では、天候の続き方が抜けてしまいます。
誰が、どの範囲の梅雨を発表しているのか
気象庁本庁と地方の気象台が、地方ごとに判断する
速報は気象庁本庁と各地方を管轄する気象台が判断し、「梅雨の時期に関する気象情報」として発表します。
対象は沖縄、奄美、九州南部、九州北部、四国、中国、近畿、東海、関東甲信、北陸、東北南部、東北北部の12地方です。
日本全国で同じ日に切り替えるのではなく、地方ごとの天候を見ています。
地方名は、普段の地域のイメージとずれる場合があります。
たとえば梅雨の発表で使う九州北部には山口県が含まれ、中国地方には山口県を含みません。
関東甲信には長野県と山梨県が含まれます。
ニュースで「九州」「関東」と省略されていても、一覧表で自分の県が入る地方を確かめると、別の地域の日付との取り違えを防げます。
同じ地方の中でも、各地の天気がいつも同じになるわけではありません。
ある地方の梅雨入りという発表は、その地域内のすべての市町村で、同時に同じ雨が降り始めるという意味ではないのです。
北海道の長雨は、梅雨入り発表とは分けて考える
北海道は、この12地方の梅雨入り・梅雨明けの発表対象に含まれていません。
ただし、発表がないから初夏に雨が続かない、湿気が少ない日ばかり、とまではいえません。
いわゆる「蝦夷梅雨」という言葉を見ても、気象庁の梅雨入り日が北海道に設けられたと受け取らないようにします。
旅行や外出では、梅雨の名称の有無より、行く地域と日程の天気予報が直接役立ちます。
発表対象外の地域でも、雨への準備が不要になるわけではありません。
「したとみられる」と「○日頃」は、なぜ付くのか
速報は、過去の天気とこれからの見通しをつないだ判断
速報では、それまでの天候に加え、1週間程度、あるいはその先までの天候の見通しを使います。
今日が雨か晴れかだけでなく、その状態が今後どう続くかを含めて判断するためです。
ニュースで使われる「梅雨入りしたとみられる」という表現は、この速報としての性質を示しています。
もし実際の季節が終わるまで発表しなければ、その年の梅雨に備える情報としては遅くなります。
大雨が起きやすい時期への注意や、農業用水、日々の生活への影響を考え、見通しを使った速報が発表されています。
あとで日付が変わる可能性があることと、発表時点の判断に意味がないことは別です。
「頃」は、季節が数日かけて移り変わるため
梅雨入りや梅雨明けには、平均して5日間程度の移り変わりの期間があります。
気象庁は、その期間のおおむね中日を「○月○日頃」と表しています。
午前0時を境に、地域全体が一斉に梅雨へ入るという出来事ではないためです。
ここでいう平均5日間程度は、「発表日から5日間待てば確実に切り替わる」という予報ではありません。
また、毎年必ず同じ長さの移行期間になるという意味でもありません。
季節の境目に幅があることを表した日付だと分かれば、「その日は晴れていたのに」という疑問も解きほぐせます。
速報値と確定値は、使う目的に合わせて区別する
確定値は、季節が過ぎてから実際の天候で見直す
確定値は、梅雨の時期が過ぎてから、実際にどういう天候が続いたかをもとに検討するものです。
気象庁本庁が事後検討を行い、その結果を9月初めに公表します。
予測を含む速報と、実際の経過を振り返る確定値では、梅雨入りや梅雨明けの日付が異なる場合があります。
| 見比べる点 | 速報値 | 確定値 |
|---|---|---|
| 判断の材料 | それまでの天候と今後の見通し | 季節を通した実際の天候経過 |
| 発表の時期 | 梅雨入り・梅雨明けを判断した当日 | 梅雨の時期が過ぎた後の9月初め |
| 役立つ場面 | その時期の季節の変化を知る | 過去の年と比較する、記録を調べる |
両者で違うのは、梅雨を別の定義に変えるからではありません。
日照時間の変化を主な根拠とする考え方は同じでも、速報時にはまだ分からなかった先の天気が、確定時には分かっています。
晴れが続く見通しだったのに、その後に雨や曇りが長く続いたような場合、振り返った境目が変わることがあります。
過去の年を比べたいときは、古いニュースの速報日と、別の年の確定値を並べないことが大切です。
片方だけが見直し前の数字なら、日付の差を同じ条件で比べたことになりません。
記録や自由研究に使うなら、気象庁の確定値にそろえ、調べた地方と年も一緒に記しておくと、後から確認し直せます。

梅雨明けの速報が出ない年と、時期を特定できない年
梅雨明けの速報は、立秋に当たる8月7日頃までを目安に発表されます。
その頃までに梅雨明けと判断できる天候にならなければ、速報の発表が行われない場合があります。
「発表がないなら、夏の間ずっと梅雨が続いた」とは限りません。
速報を出さなかった場合でも、その後に実際の天候を検討した結果、立秋を過ぎた時期を梅雨明けとして確定することがあります。
一方で、春から長雨が続いて始まりが分かりにくい年や、夏まで不順な天候が続く年には、入り・明けの時期自体を特定できない場合もあります。
「速報がない」と「確定値でも特定できない」は、同じ扱いではありません。
気象庁の過去の資料で日付が示されていないときは、空白を周辺の年の日付や平均で埋めず、特定できなかった年かを説明や注記で確かめます。
日付を無理に一つ決めないことも、その年の天候を正しく記録する方法なのです。
気象庁の一覧で、今年と過去の記録を読み分ける
年・地方・速報か確定か、の順に読む
その年の発表を調べるときは、気象庁の「梅雨入りと梅雨明け(速報値)」の一覧で、まず対象の年と更新日を見ます。
次に自分の県が属する地方の行を探し、「今年」「平年の時期」「昨年」のどの欄を読んでいるかを確かめます。
隣り合う日付を取り違えると、昨年の記録を今年の発表だと思ってしまうためです。
過去の確定した日付を知りたいときは、「昭和26年(1951年)以降の梅雨入りと梅雨明け(確定値)」から地方を選び、調べたい年の行へ進みます。
画面を記録する場合にも、日付のセルだけでなく表題と年、地方が分かる形で残すと、後から速報と確定を混同しにくくなります。
なお、速報の一覧は、休日の情報発表だと休日明けの平日に更新される場合があると案内されています。
ニュースで発表を知ったのに表へ反映されていないときは、表の更新日と、発表した地方の気象情報を見比べます。
古い表示だけから「発表されていない」と決めないための確認です。
平年の日付は、今年の予定日ではない
一覧にある平年の時期は、1991〜2020年の30年間をもとにした平均です。
梅雨入りや梅雨明けを特定できなかった年は除かれています。
「毎年この日に梅雨入りする」「この日を過ぎれば外の予定を立ててよい」という期限ではありません。
たとえば平年より梅雨入りが早かった年でも、その分だけ必ず梅雨明けも早くなるとは、この表からはいえません。
入りと明けは、それぞれの天候の変化を見て判断されます。
過去の平均は季節の大まかな見当、今年の外出判断には最新の予報、と使い分けると役立ちます。
洗濯や外出の予定には、梅雨の発表と日々の予報を使い分ける
梅雨入りの情報は、雨や曇りが多くなる時期への備えを始めるきっかけになります。
室内で洗濯物を干す場所を空ける、濡れた靴を乾かす場所を用意する、押し入れなどの湿りに気づいたら中身と風通しを見直す、といった準備です。
除湿機などを使うなら、衣類との距離や置き場所、排水・手入れは製品の取扱説明書に合わせます。
ただし、今日の洗濯物を外へ干せるか、明日の外出を屋内へ変えるかは、地域の最新の時間帯別予報を見て決めるほうが具体的です。
朝だけ晴れても帰宅前に雨の予報なら、取り込める時間と照らして室内干しを選べます。
行楽なら目的地だけでなく、移動中に雨が強まる時間や交通機関の案内も関係します。
梅雨明けの発表も、「もう傘はいらない」「大雨は起きない」という保証ではありません。
日々の警報・注意報や自治体の避難情報に関わる状況では、それらの具体的な情報を優先して行動します。
暑さへの備えも発表を待つ必要はなく、その日の気温などに応じて進めます。
季節の発表で大きな流れをつかみ、身近な予定は最新の地域情報で調整する、という役割分担です。
まとめ:梅雨の境目は、天候の変化が続くかで判断する
梅雨入り・梅雨明けは、日照時間の変化を主な根拠に、それまでの天候と今後の見通しから地方ごとに判断されます。
一日の雨や晴れだけでは季節の境目を決められないため、速報では「したとみられる」、日付には「頃」という表現が使われます。
その年の季節の移り変わりを知るなら速報、過去の記録を比べるなら確定値を読むと、目的に合う情報へたどり着けます。
そして洗濯や外出に必要なのは、自分がいる場所・時間の予報です。
梅雨という季節の情報と今日の天気を結び付ければ、発表日の晴れや梅雨明け後の雨にも戸惑わず、予定を考えやすくなります。
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- 北海道に梅雨入り発表がない理由は?本州との違いをわかりやすく解説:蝦夷梅雨と呼ばれる長雨や、旅行前の天気の見方を説明しています。
参考資料
- 気象庁「梅雨について」:定義、判断基準、「頃」、速報と確定値、発表しない場合。
- 気象庁「梅雨入りと梅雨明け(速報値)」:当年の発表一覧と更新の扱い。
- 気象庁「昭和26年(1951年)以降の梅雨入りと梅雨明け(確定値)」:地方別の過去の記録と平年の対象期間。
- 気象庁「地域名」:山口県を含む九州北部など、地方の範囲。

