「各位(かくい)」には敬意が含まれるため、「各位様」「各位殿」とする必要はありません。
複数の相手に同じ内容を伝えるメールなら、「社員各位」「関係者各位」のように、誰に向けた連絡かを添えて使えます。
宛名を決めるときは、同じ文面を届ける対象者をまとめて呼ぶのか、名前を挙げて一人ずつ呼ぶのかを先に考えると選びやすくなります。
前者なら「各位」、後者なら各人の名前に「様」、個人名を挙げず会社や部署を宛先にするなら「御中」が基本です。
ただし、本文の宛名とメールアドレスを入れるTo・Cc・Bcc欄は別のものです。
「各位」と書くだけでは、受信者同士のアドレスは隠れません。
「各位」だけで敬意は伝わる
「各位」は、対象となる一人ひとりに敬意を示しながら、まとめて呼びかける言葉です。
国立国語研究所の解説でも、個人名を省略して同文の文書を送る場合の宛名として説明されています。
たとえば、研修の参加者全員へ同じ案内を送るなら「研修参加者各位」、会員全員へ連絡するなら「会員各位」と書けます。
対象を明示すると、受け取った人が自分に関係する連絡だと判断しやすくなります。
「各位様」の「様」は足さず、「関係者各位」のように整えれば十分です。
より丁寧に伝えたい場合は、宛名へ敬称を重ねるよりも、本文で依頼の理由や期限を明確にし、「ご確認をお願いいたします」など、用件に合う言葉を添えましょう。

各位・一人ずつの様・御中は、宛先の単位で選ぶ
複数人へ送るという理由だけで、すべてのメールを「各位」にする必要はありません。
誰に何をしてほしい連絡なのかに合わせて、次のように書き分けます。
| 伝える相手・目的 | 本文の宛名例 |
|---|---|
| 対象者全員に同じ案内を伝える | 研修参加者各位 |
| 名前を挙げて複数人に依頼する | 山田様 佐藤様 |
| 個人名を指定せず会社や部署に送る | 株式会社〇〇 総務部 御中 |
全員に共通する連絡なら「対象者+各位」
日程変更、資料の配布、参加案内など、同じ内容を対象者全員へ届けるときに向いています。
「社員各位」なら社員、「説明会参加者各位」ならその説明会の参加者が対象です。
「関係者各位」は幅広く使えますが、関係する範囲が曖昧になる場合は「〇〇プロジェクト関係者各位」のように用件を絞ります。
一部の担当者だけに作業を依頼するなら、宛名や本文で担当者を示してください。
名指しするなら、それぞれに「様」
担当者二人に別々の資料を依頼するなど、誰にお願いしているかを明確にしたいときは連名が適しています。
「山田様、佐藤様」のように、敬称は一人ずつ付けます。
別会社の人を連名にするなら、会社名・部署名・氏名を相手ごとに書くと所属も伝わります。
人数だけで切り替える固定の基準を設けるより、名指しが必要な用件かどうかで選ぶと実際のメールに合わせやすくなります。
会社・部署を宛先にするなら「御中」
個人名が分からず総務部の窓口へ問い合わせる場合などは、「株式会社〇〇 総務部 御中」とします。
会社名と部署名を続けるときは、最後に「御中」を一つ添えます。
同じ部署の一人ひとりに共通の案内を送る「総務部各位」と、部署を窓口として問い合わせる「総務部 御中」では、呼びかける対象が異なります。
担当者名まで書ける場合は「株式会社〇〇 総務部 山田様」のようにし、その宛名へさらに「御中」を重ねる必要はありません。
社内・社外で使える複数宛先メールの例文
以下は、会社名・人名・日付・業務を仮に設定した文例です。
実際に送るときは、対象者、日時、添付資料、返信先を自分の用件に置き換えてください。
社内の日程連絡:全員へ案内し、返信は不要
件名:営業部定例会の時間変更(11月18日)
営業部各位
お疲れさまです。
営業企画の田中です。11月18日の定例会は、開始時刻を14時から15時へ変更します。
会場は第2会議室で、変更はありません。予定表の更新をお願いいたします。
このメールへの返信は不要です。
参加が難しくなる場合は、11月16日17時までに田中へ個別にご連絡ください。営業企画 田中
全員に求める行動は予定表の更新です。
「返信不要」とする場合も、欠席など連絡が必要な条件は別に示すと、受け取った人が対応を選べます。
関係者への資料依頼:対象者ごとに回答が必要
件名:【11月20日17時締切】〇〇プロジェクト進捗資料の提出依頼
〇〇プロジェクト担当者各位
お疲れさまです。
事務局の田中です。11月25日の打ち合わせに向けて、各担当の進捗資料を取りまとめます。
添付の記入用ファイルに、現在の進捗、課題、次回までの予定をご記入ください。11月20日17時までに、記入済みファイルを添付し、田中宛てに返信をお願いいたします。
今回は担当者ごとに1件の提出をお願いします。
期限までの提出が難しい場合は、同じ期限までに提出予定日をご連絡ください。〇〇プロジェクト事務局 田中
「各位」で一斉に依頼する場合も、全員が回答するのか、部署の代表者が回答するのかを本文で決めておきます。
この例は担当者ごとの提出です。
部署で一つにまとめる運用なら、「各部署の代表者1名からご提出ください」と置き換えます。
二人を連名で呼ぶ:役割の違いも本文で示す
件名:【11月19日まで】説明会資料の確認依頼
株式会社〇〇 山田様
株式会社△△ 佐藤様いつもお世話になっております。
株式会社□□の田中です。合同説明会の資料案を添付いたします。
山田様には開催概要、佐藤様には申込方法の記載をご確認いただけますと幸いです。11月19日17時までに、修正の有無を田中宛てにご返信ください。
修正がない場合も、その旨をお知らせいただけますと助かります。株式会社□□ 田中
宛名に二人の名前を書くと、依頼相手が明確になります。
さらに本文で確認箇所を割り当てれば、「どちらかが対応する」と受け取られる余地を減らせます。
このように同じメールでも役割が異なる場合は、連名が使いやすい形です。
社外の参加者への案内:返信が必要な人を限定する
件名:11月27日開催・〇〇説明会のご案内
〇〇説明会参加者各位
お世話になっております。
〇〇説明会事務局です。お申し込みいただいた説明会を、次のとおり開催いたします。
日時:11月27日14時〜15時
会場:〇〇ビル3階会議室
受付開始:13時45分ご来場時は、受付でお名前をお伝えください。
このご案内への返信は不要です。
ご欠席の場合のみ、11月25日17時までに事務局宛てにご返信をお願いいたします。〇〇説明会事務局 田中
社外の一斉案内でも、参加者全員へ同じ連絡を届ける目的なら「参加者各位」という宛名が使えます。
互いのメールアドレスを知らせる必要のない参加者への送信方法は、後述のBccの確認と合わせて選んでください。
目上の人・社外へ使うときは、用件と指定書式を確かめる
「各位」はそれ自体が敬意を含む表現です。
目上の人や社外の人が含まれるという理由だけで、一律に失礼と決める必要はありません。
ただし、特定の相手へ個別にお礼を伝える、判断をお願いする、担当者に回答を求めるといった用件なら、名前や役職を明示した宛名のほうが相手を特定できます。
反対に、役職の異なる参加者へ共通の日程を知らせるなら、対象をまとめる「参加者各位」が用件に合います。
取引先や所属先に文書のひな形、指定の宛名、連名の記載順がある場合は、その書式を先に確認しましょう。
宛名だけで丁寧さを補おうとせず、相手に頼む内容、期限を設ける理由、対応の負担にも目を配ると、用件が伝わる文章に整います。
「各位」とTo・Cc・Bccは別に確認する
本文の「参加者各位」は、読む人への呼びかけです。
実際にどのアドレスへメールを届けるかは、送信画面の宛先欄で決まります。
本文に「各位」と書いても、To・Cc欄に入力したアドレスを非表示にはできません。
受信者同士でアドレスを共有してよいかを、送信前に確認してください。

- To:主に連絡・依頼を届ける相手を入れます。複数のアドレスを入れる場合は、受信者同士に見えることを前提に扱います。
- Cc:情報を共有する相手を入れます。受信者はTo・Ccの宛先を見ることができます。
- Bcc:ほかの受信者に知らせずに届ける相手を入れます。Gmailでは、Bccの受信者同士は互いの名前やアドレスを見ることができません。
たとえば、互いの連絡先を共有する必要のない説明会参加者に送るなら、Bccでの送信や、組織で認められた一斉配信の方法を選びます。
Bccの受信者からはTo・Ccの宛先が見えるため、参加者を一部だけToに残さないようにしてください。
Bccに入れても、本文に書いた参加者名や、添付ファイルに含まれる名簿までは隠れません。
宛先欄を整えたあとに、本文・引用された過去のやり取り・添付資料へ、他の受信者に知らせるべきでない名前やアドレスが残っていないかも確認しましょう。
送信前は「呼びかけ」と「届け先」を順に点検する

- 対象:「社員各位」「参加者各位」などの範囲と、実際に送る相手が一致しているか。
- 宛名:各位に「様」「殿」を足していないか。名指しの連名なら、一人ずつ敬称が付いているか。
- 用件:何を、いつまでに、誰が対応するのか。返信不要・全員返信・代表者のみなどの区別が書かれているか。
- 宛先欄:To・Cc・Bccに入れた相手と、アドレスを共有してよい範囲が合っているか。
- 本文と添付:不要な個人情報、別の相手向けの文章、誤った添付資料が残っていないか。
宛名が正しくても、誰が返事をするのかが曖昧だと依頼が進みにくくなります。
書き終えたメールを受信者の立場で読み、自分が次にすることを一つずつ判断できるか確かめてから送りましょう。
まとめ
「各位」には敬意が含まれるので、「各位様」とする必要はありません。
共通の内容を対象者全員に伝えるなら「対象者+各位」、名指しなら各人に「様」、個人名を挙げない組織宛てなら「御中」を選びます。
宛名が決まったら、用件・期限・返信の要否を本文に書き、To・Cc・Bccと本文・添付資料を確認してください。
呼びかける相手と実際の届け先がそろえば、受け取った人も自分の対応を判断しやすくなります。
参考資料
- 国立国語研究所「手紙や文書のあて名に付ける敬称などには、どういった種類がありますか」(各位・様・御中の語法を参照。初出は2001年)
- Google Gmail ヘルプ「メールの送信または送信取り消し」(Cc・Bccの宛先表示を参照)

