「好評を頂く」は、漢字だから間違いという表現ではありません。
「好評」はよい評判や評価のことで、「頂く」は「もらう」をへりくだっていう言葉として使えます。
仕事のメールで表記に迷うなら、「ご好評をいただきました」と書くと、丁寧さを保ちながら読みやすく伝えられます。
ただし、お礼を伝えるのか、反応を報告するのかで、合う言い方は変わります。
まだ評価を受けていない場面で使ったり、誰が評価を受けたのかを取り違えたりすると、表記が整っていても内容が伝わりません。
ここでは「頂く/いただく」の選び方、「ご」を付ける理由、相手と目的に合わせた例文を説明します。
最後に、メールを送る前に文を直す手順まで紹介します。

「好評を頂く」の意味と、仕事で使える基本形
「好評を頂く」は、相手からよい評価を受けることを、相手への敬意を込めて表す言い方です。
「ご好評をいただきました」とすれば、例えば催しの参加者や商品を使ったお客様から、よい反応を受けたことを伝えられます。
大事なのは、何について、誰から評価を受けたかが分かることです。
「ご好評をいただきました」だけでは、商品の品質なのか、説明の分かりやすさなのかが読み手に残りません。
「先日の講座は、実例が分かりやすいと参加者の皆様からご好評をいただきました」なら、評価の対象と内容が具体的になります。
報告の根拠には、実際に受けた感想やアンケートの回答を使いましょう。
「好評」と「売上が多い」「人気がある」は、伝えている事実が違います。
参加者が少ない催しでもよい評価を受けることはありますし、よく売れた商品に不満の声が寄せられることもあります。
人数や販売実績を伝えたい場合は、その事実を別に書くほうが正確です。

「頂く」と「いただく」は、文の中の働きで選ぶ
「好評を頂く」は「もらう」の意味を持つ
「資料を頂く」「お言葉を頂く」のように、何かをもらう意味で使う「頂く」は、それ自体が意味を持つ動詞です。
「好評を頂く」も、よい評価を受けるという意味で考えられます。
受け取るものが目に見えないから、必ず平仮名にしなければならないという分け方ではありません。
一方、「評価していただく」は「評価する」という相手の行為を受ける形です。
この「いただく」は、前の動詞に付いて敬意を表す補助動詞として使われています。
「好評を頂く」と「評価していただく」は、似た場面で使えても、語のつながりが違います。
| 表現 | 文の組み立て | 表記を選ぶ手掛かり |
|---|---|---|
| 好評を頂く/好評をいただく | よい評価をもらう意味 | 漢字表記を一律に誤りとせず、文書の表記方針に合わせます。 |
| 評価していただく | 評価してもらう意味 | 補助動詞は平仮名で書くのが基本です。 |
| 資料を頂く/資料をいただく | 資料をもらう意味 | 本動詞でも平仮名を選べます。社内の表記ルールがあればそろえます。 |
公用文の漢字使用を定める内閣訓令では、「報告していただく」のような補助的な用法を平仮名で書く例が示されています。
ただし、これは公用文の表記に関する資料です。
一般のメールで「好評を頂く」と書いた文を、資料の適用範囲を超えてすべて誤用と決めつける根拠にはなりません。
自分で表記を選べる文章なら、「ご好評をいただく」に統一すると、漢字と平仮名を迷い続けずに済みます。
会社の文書規定や既存の定型文がある場合はそれに合わせ、同じ文書で「頂く」と「いただく」が理由なく混ざっていないかを見直してください。

「ご好評をいただく」は二重敬語?主語と敬意の向きを確かめる
「ご」と「いただく」が両方あることだけで、直ちに二重敬語になるわけではありません。
「ご好評」の「ご」は相手の評価を丁寧に扱い、「いただく」は自分側がその評価を受けることをへりくだって表します。
文化庁の「敬語の指針」は、同じ語に同じ種類の敬語を重ねる場合などを二重敬語として説明しています。
この一般的な説明に照らすと、異なる働きの敬語が含まれているだけで「ご好評をいただく」を避ける必要はありません。
ただし、同資料がこの表現自体を個別に判定している、という意味ではありません。
評価した人と、評価を受けた人を入れ替えない
例えば、自社の取り組みをお客様が評価したなら、次のどちらでも関係を表せます。
- 受けた側から書く:「私どもは、お客様から高い評価をいただきました。」
- 評価した側から書く:「お客様が、私どもの取り組みを高く評価してくださいました。」
これを「お客様がご好評をいただきました」とすると、お客様自身が誰かから評価を受けた、という読み方になります。
お客様が自社を評価してくれたことを伝えたい文には合いません。
「誰が」を声に出して補うと、敬語だけを直して意味を逆にしてしまうのを防げます。
「ご好評いただく」と「ご好評をいただく」
「を」を省いた「ご好評いただく」という形も見掛けますが、仕事の文章で迷う場合は「ご好評をいただく」と書けば、何を受けたかが明確になります。
「ご連絡いただく」などと見た目が似ていても、すべての名詞に同じ形を当てはめる必要はありません。
すでに決まった案内文を点検する場合も、「を」がないだけで全文を誤りと決めつけず、意味が明確か、文書内の表記がそろっているかを見ます。
自分の文を新たに作るなら、「ご好評をいただきました」を基本形にすると書き進めやすくなります。
相手と目的に合わせて使う例文
講座・催しの結果を報告する
「先日の講座では、実例を交えた説明が分かりやすいと、参加者の皆様からご好評をいただきました。
次回も具体的な事例を取り入れる予定です。」
最初の文で実際の反応を伝え、次の文で今後の予定を示しています。
評価を受けた内容が分かるので、「好評でした」だけよりも、次に何を続けるのかが伝わります。
次回の内容が未定なら、確定したように予定を書かず、検討中であることを示しましょう。
商品の紹介では、過去と継続中を使い分ける
「こちらの収納ケースは、中身を見分けやすい透明なふたについて、ご好評をいただいております。」
「いただいております」は、現在もよい評価を受けていることを伝えるのに向きます。
終了した展示会の反応だけなら「展示会では、ご好評をいただきました」と、過去の場面を示します。
一度の感想を根拠に、ずっと広く支持されているように書かないことが大切です。
一人のお客様への返信は、その方の言葉へお礼を返す
「使いやすいとのお言葉をいただき、ありがとうございます。
毎日の片付けにお役立ていただけましたら幸いです。」
本人に返信する場面で、わざわざ「皆様からご好評をいただいております」と広げる必要はありません。
その人が伝えてくれた内容へお礼を返すと、定型的な商品紹介よりも返信の目的に合います。
「うれしいお言葉をいただき、ありがとうございます」という言い方も使えます。

社内報告は、評価と次の対応を具体的に書く
「新しい入力フォームは、入力項目が減った点について利用者から好評でした。
一方で、文字の大きさには改善を求める意見があり、表示方法を見直しています。」
社内向けなら、常に「ご好評をいただきました」と改まる必要はありません。
どの部分が評価され、何が残っているかを率直に伝えるほうが、次の対応を決めやすくなります。
よい感想と改善要望が両方あれば、どちらかを消して一色の評価にしないでください。
協力してくれた取引先には、報告と感謝を分ける
参加者からの評価を、開催に協力した取引先へ報告する場合は、「評価した人」と「お礼を伝える相手」が異なります。
次のように段落を分けると、関係を取り違えずに書けます。
件名:講座開催の御礼
〇〇様
先日の講座の開催に際し、ご協力いただきありがとうございました。
参加者の皆様からは、実例が分かりやすかったとご好評をいただきました。
資料の準備にお力添えいただき、心より御礼申し上げます。今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。
例文を使うときは、催しの名前や実際に評価された内容へ置き換えます。
相手が資料作成に協力していないなら、準備の部分も実際の協力内容に直してください。
丁寧なひな形でも、事実と違うお礼を残せば不自然になります。

「好評」の言い換えは、伝えたい中身から選ぶ
同じ表現が続くときは、言葉を難しくするよりも、評価・感想・喜び・人気のどれを伝えるかを決めると選びやすくなります。
| 言い換え | 向いている内容 | 例文 |
|---|---|---|
| 高い評価をいただく | 品質や成果への評価 | 提案の具体性について、高い評価をいただきました。 |
| うれしいお言葉をいただく | 直接寄せられた温かい感想 | うれしいお言葉をいただき、ありがとうございます。 |
| お喜びいただく | 相手が喜んだこと | 記念品をお喜びいただけて、何よりです。 |
| 人気を集める | 多くの人の関心や支持 | 会場では体験コーナーが人気を集めました。 |
| 好評を博す | 催しや作品などの評判を述べる報告 | 地域の展示会は、来場者から好評を博しました。 |
「好評を博す」は「こうひょうをはくす」と読み、よい評判を得るという意味です。
展示会や作品の紹介文に使えますが、それ自体に「いただく」と同じ謙譲の働きはありません。
相手へ直接お礼を伝えるメールなら、「お言葉をいただき、ありがとうございます」のほうが目的に合うことがあります。
「ご好評を賜り」の「賜る」は「たまわる」と読み、「もらう」をへりくだる言葉です。
式典の挨拶や改まった文書には使えますが、日々の短いメールで無理に置き換える必要はありません。
「ご好評をいただき」でも敬意を表せます。
また、「ご愛顧」は、目をかけて引き立ててもらうことを表します。
日頃の利用や支援への感謝には合いますが、講座への一度の感想を、そのまま「ご愛顧」に置き換えると意味が変わります。
似た丁寧語を並べるのではなく、受けたものが評価なのか継続的な支援なのかで使い分けましょう。
強調・延長のお知らせ・感想の依頼で迷いやすい点
「大変好評」「大好評」は、反応の広さに合わせる
「大変好評をいただいております」と強調すること自体を、一律に文法上の誤りとする必要はありません。
ただし、数人から好意的な感想があっただけなのに、大勢から高く評価されたように書けば、内容を大きく見せることになります。
評価の程度を裏付けられないときは、「参加者からは、説明が分かりやすいとの声がありました」のように、確認できた範囲で書きます。
「大変大好評」のように似た強調を重ねるより、何が評価されたかを一つ添えるほうが伝わります。

「好評につき」は、その後の対応の理由を示す
「好評につき、展示期間を延長します」「ご好評につき、追加開催が決まりました」のように使います。
よい反応を受けて、延長や追加をするというつながりがある文です。
もともと決まっていた予定を、好評が理由で変更したかのように見せる使い方は避けます。
単に次回を知らせたいなら、「次回は〇月〇日に開催します」と案内できます。
申込先や締切がある場合は、その情報も付けて、読者が実際に参加できる形にしましょう。
感想をお願いするときは、よい評価を前提にしない
「ご好評いただけますと幸いです」では、よい評価を求めているように伝わります。
まだ反応を受けていないときは、「ご利用後の率直なご感想をお寄せいただけますと幸いです」のように依頼します。
アンケートなら、「よかった点や、改善してほしい点をお聞かせください」と、肯定・否定の両方を答えられる聞き方にすると目的が明確です。
「好評を得たい」という書き手の希望と、「感想を聞きたい」という読者への依頼を混ぜないようにします。
送信前は、内容を決めてから文を整える
- 評価した人と、評価を受けた対象を書き出します。
「参加者が講座の実例を評価した」のように、敬語を外した文で関係を確かめます。 - 報告・お礼・依頼のどれを伝えるかを決めます。
本人へのお礼ならその人の言葉へ返信し、社内報告なら具体的な評価と残る課題を書きます。 - 実際に受けた反応と表現の広さを比べます。
未実施の催し、架空の感想、確認していない数値を根拠にしません。 - 過去の反応なら「いただきました」、現在も続く反応なら「いただいております」など、時期を文に合わせます。
- 表記ルールに合わせ、送信先・件名・本文を通して読み直します。
長い一文は、報告、お礼、次の対応に分けます。
例えば、商品紹介と感謝と予定を詰め込んだ文は、「使いやすさについて、ご好評をいただいております。
温かいお言葉をありがとうございます。
今後も使い心地の改善に取り組みます」と分けられます。
語尾だけを変えるのではなく、一文が何を伝えるかをそろえる直し方です。
まとめ
「好評を頂く」は漢字表記だけで誤りとはいえません。
仕事のメールで迷うなら「ご好評をいただきました」を基本にし、社内の表記方針がある場合はそれに合わせましょう。
「評価していただく」のような補助動詞の用法とは、文のつながりが異なります。
書く前に、誰から何が評価されたのか、報告とお礼のどちらを伝えるのかを決めると、例文を自分の場面へ直せます。
実際の反応、時期、相手との関係に合う一文にすることが、表記だけを整えるよりも伝わる文章につながります。
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参考資料
2026年11月4日に、以下の公開資料を確認しました。
- 小学館「デジタル大辞泉」好評(コトバンク掲載) — 好評の意味。
- 小学館「デジタル大辞泉」頂く(コトバンク掲載) — 本動詞と補助動詞の用法。
- 内閣訓令「公用文における漢字使用等について」 — 補助動詞の仮名表記の例。
- 文化審議会「敬語の指針」 — 敬語の働きと本文30ページの二重敬語の説明。
- 文化庁「敬語の基本」理解度チェックの解答 — もらうの謙譲語としてのいただく。
- 小学館「デジタル大辞泉」「精選版 日本国語大辞典」博する(コトバンク掲載) — 評判を得る意味。
- 小学館「デジタル大辞泉」賜る(コトバンク掲載) — 読みと謙譲の意味。
- 小学館「デジタル大辞泉」愛顧(コトバンク掲載) — 目をかけて引き立てる意味。

